光学ユニットの設計開発に欠かせない発光効率の考え方

LED照明・特殊光源等の光学ユニットの設計開発は
デコへお任せください

デコではLED照明や特殊電源装置など、光学ユニットの受託設計開発を得意としております。

ファブレスメーカーであるため製造工程は海外の協力工場が担いますが、製品のコア部分となる設計はデコが責任を持って対応し、お客様のご要望の仕様を図面に落とし込みます。

ゼロからの開発はもちろん、既存製品のカスタマイズや、あらかじめ自社で仕様を決め開発した自社製品の取り扱いもございますのでお気軽にご相談ください。

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光学ユニットの開発において、発光効率を高めることは最も重要かつ難易度の高いテーマの一つです。設計の現場では、単に明るいLEDを選べばよいというわけではなく、電力を供給してから最終的な光として外部に放たれるまでの各工程で生じるロスを、いかに最小限に抑えるかが問われます。

発光効率と一口に言っても、半導体チップ内部の効率、パッケージから光を取り出す効率、レンズ等の光学部品を透過する効率、そして電源回路の変換効率など、複数の階層が存在します。

光を取り出す|内部ロスと屈折率の壁

LEDやレーザーダイオードの効率を考えるうえで、最初の関門となるのがチップ内部での光の生成と、それを外部へ取り出すプロセスです。

電気エネルギーを光エネルギーに変換する割合を内部量子効率と呼びます。

ここにより多くの光を得ようとしてやみくもに大電流を流すと、発熱が増大してかえって変換効率が落ちてしまう現象にぶつかります。

設計にあたっては、素子ごとに定められた最も効率よく発光する電流の最適値を見極めることが重要です。

さらに設計者を悩ませるのが、チップ内で生まれた光を外へ引っ張り出す際の物理的な障壁です。半導体材料は空気に比べて非常に高い屈折率を持っています。そのため、チップ内部で発生した光の多くは、空気との境界で全反射してしまい、外に出ることなく内部で吸収されて熱に変わってしまいます。

これを防ぐための設計上の工夫として、チップの表面にミクロン単位の微細な凹凸を設けて光を乱反射させ、外へ抜けやすくする表面加工技術が広く用いられています。また、半導体チップを直接空気に触れさせるのではなく、中間の屈折率を持つシリコーン樹脂などの封止材で覆うことで、光が外へ向かうためのなだらかな階段を作り、効率よく光を抽出する設計が一般的です。

光をロスなく導く|レンズやカバーガラスでの反射対策

チップから無事に光を取り出せても、その先に配置されたレンズやカバーガラスを通過するたびに、表面の反射によって光は失われていきます。

一般的な光学ガラスでも、片面で約4%の光が反射で弾かれます。複数枚のレンズを使うシステムでは、このわずかなロスが積み重なり、最終的な明るさを大きく損なうだけでなく、迷光となって画質やセンサー精度を低下させる原因にもなります。

これを防ぐのが反射防止コーティングです。用途に合わせて適切なコーティングを選ぶ必要があります。

  • 単層コーティング
    フッ化マグネシウムなどを1層だけ塗布する安価で丈夫な手法です。反射率を1.5%程度まで下げられます。ただし、構造上波長選択性がある点には注意が必要です。特定の波長が透過しやすくなる一方で、別の波長では反射低減効果が弱くなる場合があります。
  • 多層膜コーティング
    複数の異なる材料を何層にも重ねて塗布する手法です。単層コーティングの弱点である波長選択性を克服し、広い波長範囲にわたって反射率を0.5%以下に抑えます。製造コストや難易度は上がりますが、色再現性が求められる高性能カメラや精密光学系には必須となっています。

また、レンズの端の方を斜めに通過する光は、中心部よりも反射ロスが大きくなる性質があります。広角レンズなどを設計する際は、光が斜めに入射する角度も考慮してコーティングを最適化する必要があります。

熱と光の密接な関係|温度上昇による効率低下を防ぐ

光学ユニットの設計において、熱対策は光学設計と同じくらい重要です。LEDに投入した電力のうち、光になれなかったエネルギーはすべて熱に変わります。

温度が上がると、素子の発光効率はさらに低下し、発熱が増えるという悪循環に陥ります。例えば、素子の温度が25度から100度に上がっただけで、光の出力が10%から20%も落ちることは珍しくありません。さらに、温度上昇は光の色味を赤みがかった方向へ変化させてしまうため、色再現性が求められる照明や精密センサーでは致命傷になります。

設計段階では、熱の逃げ道となる基板や放熱シート、ヒートシンクの熱抵抗を計算し、最悪の環境下でも素子の温度が上限を大きく下回るように余裕を持った放熱ルートを構築することが求められます。

人の目と用途に合わせる|明るさと色味のトレードオフ

照明やディスプレイの設計では、物理的なエネルギー量ではなく、人間の目が感じる明るさであるルーメンという単位が基準になります。

現在主流の白色LEDは、青色LEDの光を黄色の蛍光体に当てて白色を作り出しています。しかし、青い光を黄色や赤に変換する過程で、エネルギーの一部が熱として失われる損失が発生します。

さらに、モノの色を自然に見せる演色性を高くしようとすると、人間の目が暗く感じやすい赤色の成分を増やす必要があります。結果として、光の質は良くなる一方で、カタログスペック上の明るさ効率は下がってしまいます。

設計者は、ターゲットとする製品が単なる明るさを求めているのか、それとも色の再現性を求めているのかを見極め、最適なバランスを着地点として設定する必要があります。

システム全体を支える電源回路の最適化

どれだけ高効率なLEDやレンズを選んでも、電気を供給するドライバー回路の効率が悪ければ意味がありません。

LEDは温度によって電圧が変動しやすいデリケートな部品であると同時に、流れる電流の変化がそのまま光量(明るさ)のバラツキに直結します。そのため、LEDの保護と光量の安定化という両面から、常に一定の電流を流し続ける定電流制御が不可欠です。入力電圧とLEDの電圧バランスに応じて、最適な変換回路を選ぶことが効率アップの鍵になります。

  • 降圧コンバータ
    入力電圧がLEDの電圧より高い場合に使い、95%以上の非常に高い効率を狙えます。
  • 昇圧コンバータ
    低い電圧から複数のLEDを光らせる場合に便利ですが、電流が増える分、回路の発熱ロスが大きくなりがちです。

光学ユニットの発光効率を最適化するということは、半導体、材料、熱、そして電気回路という異なる分野の知識を繋ぎ合わせる作業です。

ユニットが製品の筐体に組み込まれ、熱を持ち、レンズを通った後に最終的にどれだけの光が届くのか。システム全体としての総合効率を設計の初期段階からシミュレーションし、各工程のロスを一つずつ潰していく地道なアプローチこそが、最適な光学ユニット設計において重要となります。